2006年05月01日

姉歯建築士ら8名の逮捕

執筆者秋野卓生
●匠総合法律事務所

 4月26日、耐震強度偽装問題の中心人物であった姉歯建築士、木村建設役員、イーホームズ社長が逮捕されました。

 逮捕容疑は、姉歯建築士が建築士法違反(名義貸し)、木村建設役員が建設業法違反、イーホームズ社長は公正証書不実記載罪といずれも、「本丸」である詐欺容疑からみれば別件であり、こういった逮捕を別件逮捕と言います。

 まず、これらの別件で逮捕し、口裏合わせなどを防止し、じっくり刑事や検事が取り調べをしていこうという事なのでしょう。
 皆さんは、「どうして別件で逮捕するのか?ストレートで詐欺容疑で逮捕すれば良いのではないか?」と思われるかもしれません。

 しかし、この詐欺の立件をするには、大きな壁があります。

 それが、「欺してやろう」と考えていたという「故意」の立証です。

 例えば、ヒューザーの前社長は、耐震強度が偽装されているとは知らなかったとシラを切っています。

 このシラが切り通せた場合、客観的に耐震強度が偽装されたマンションが住民に引き渡され、代金が支払われていたとしても「故意」がないという事で、詐欺は成立しないのです。

 従って、まず、これらの事情について知る関係各位を逮捕し、正直に全てを告白させ、全ての証拠を整えた上で、本丸の詐欺容疑で関係一同を逮捕しようと考えているのだと思います。

 住宅の安全性についての信頼を損なわせた重大犯罪です。

 また、国からの相当の援助がなされなければ、住民は大損害です。

 このような大損害の被害感情をどこにぶつければよいのか、と考えて見ましょう。

 ヒューザー、木村建設、イーホームズ全ての会社が倒産し、消滅してしまい、姉歯建築士ら建築士に賠償能力がないとという事であれば、住民の皆さんは民事上の責任追求をする相手を失います。

 そうすると、この被害感情は刑事責任の追求と厳罰という形でしか晴らせないのではないでしょうか。

 マスコミは、一罰百戒を狙ったものだとコメントしていますが、私は一罰百戒以上に大損害を被った住民の被害の代弁者である住民のため、警察・検察が威信をかけて動いているものと思います。

 刑事訴訟法の世界では、別件逮捕は好ましいものではないと言われていますが、このような好ましくない手続きではあっても関係者を確実に刑罰に導く今回の刑事当局の動きを私は高く評価しております。

posted by s-housing at 12:48| 秋野卓生の住宅法律相談所 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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