2006年05月08日

工務店が魅せられるノウハウ提供とは

執筆者野辺公一
●オプコード研究所

「一見怪しげ」なノウハウ提供ビジネス

 SAREX「工務店力向上ワークショップ」でのことだ。工務店が魅せられる住宅コンセプト(ということは、顧客ニーズに対応するはず、という計算が働くわけだが)と題して、日々工務店にお誘いのある「一見怪しげ」なノウハウ提供のご案内、というものの中身を検討してみた。

 これまでは、画期的な工法といったものが主力であったが、最近ではむしろ「健康」「癒し」といったコンセプトを工務店住宅に組み込むこと(あるいは読み込むこと)が可能なノウハウの提供、というのが増加しているようだ。
 まるでテレビの「あるある」のようなカタログやちらしが多い。しかし、テレビ番組もけっこう怪しげなことを平気で「健康対策」として推奨しているが、それでも一応テレビ的な公開・効果実験というものを見せてくれる。ま、これが視聴者を納得させ、翌日ネットショッピングへと走らせる秘訣、と言える。

 一方、工務店向けのノウハウの提供の方はどうかというと、その「健康」なり「癒し」なりに「効果がありそう」という商品ももちろんある。しかし、ノウハウの提供者のミソは別なところにある。「これだけを買ったって、顧客に対する説得力が増すわけではない。大切なことは、この商品を顧客に対してどのようにプレゼンテーションしていくのか、ということ」ということになる。従って、この材料なり商品なりを「引き付け玉」として、いかに、顧客に納得と満足感を与えるのか、という「売り方開発」が必要なんですよ、という形になっているようだ。

もう一つ引きつける「玉」が欲しい


 しかも、多くは地域独占権を付与した商品の提供を行っている。これって「FC」的なんですね。 地域商圏の独占権の付与がFCの基本だが、本当に安全で、健康にもよい材料や商品であるのならば、誰にでも使用してもらう方がいいと、私は思うのだが、こいつを差別化の種にする。

 そして、その種から花を咲かせるためには、あなたのやり方では駄目で、私たちの経営ノウハウをしっかりと吸収していただきたい、という形になって、別途営業力や経営力の強化講習やテキストを受け取って、それなりのお金を支払うこととなる。

 素晴らしい。

 こういうお誘いの多さが、工務店大丈夫? という思いを抱かせる。これまでハードな技術的なことさえクリアしていれば、顧客との関係性は構築されていくと考えていた。その自信がいま揺らいでいるようだ。

 これまでやってきたことはもちろん正しい。しかし、いま一つ新しい味付けが必要なんだ。提案の力となるものが欲しい。入り口に引きつける玉が欲しい、とどうやら切実に思っているようだ。事実、味付けが一つ足りなくて、他社に顧客が流れる、といった体験をすると余計にそう思うものらしい。

 でも、本当にそうなのだろうか。

「チョイケン」を求める顧客に対応

 顧客側も、そうした提案を待っている部分もあるから、そうなるのだろうが。

 もし、顧客が「健康」や「癒し」を求めているとすれば、顧客の暮らし方そのものの見直しが必要なわけだ。しかし、そんな根本的な改善の気持ちを持つ顧客は少ない。

 むしろ、サプリメント効果を求めるように住宅でもし「健康」が持続できるのなら、といった「チョイケン」(「ちょっと健康」の略)住宅にはしたいよね、という意識が見え隠れする。そこが「付加価値」なのですよ、とノウハウ提供社は工務店を蜜に誘っているようなのだが、それって何なのだろうか。

 提供する材料や商品では(本当のところ)効果の程ははっきりせず、でも、それを訴求ポイントとして、顧客をまず入口に立たせる。こうして、問題はその提案力や営業力なのだ、と言っているように思えてならない。

 まるで新しい概念のようなのだが、パソコンを知らないお父さんたちに、一日でマスターできるソフト授業料込み、といった商法のような気がして、ま、おもしろいと言えばおもしろい商売が工務店の世界を対象として拡大しているな、と感じる。

ブログ「NOBEX私信」http://nobex.exblog.jp/ 
WEBマガジン月刊「住宅『考』房」http://master-builders.ne.jp/webnews/34/34news.htm
(地域マスター工務店登録運動発行)
posted by s-housing at 11:24| 野辺公一の21世紀工務店の源泉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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