2006年09月12日

勢いか、持続か

執筆者野辺公一
●オプコード研究所

勢いに対する興味
 
 新建ハウジングを見ていると、若々しい創業オーナー的な工務店がいくつも紹介されている。ヒルトップ博士説では、旧いブランド(例えば大手的な)より新鮮さの方が勝るのではないか、という考察もある。
 
 例えば、タマホーム。これも既存のローコストメーカーが存在する中で、際立ったビジネスモデルを打ち立てたわけではない。もちろん、微細な差異も重要な要素だが、それよりも、例によってこの手の新興ビルダーの定番である大量CMと例のヤフードームでお馴染みとなった「タマホーム」看板。こうした、あれ最近聞いた名前だな、という部分から消費者の目が違和を感じなくなり、むしろそこを承認していく過程を取ることは実証されている部分だ。
 
 つまり、同一マーケットに存在している選別対象ビルダーと比較して、元気そうだ。勢いがある、といったことが顧客の「興味」を築きあげることもある。従って、入り口は相当に大きく開くことが可能となる。
5年間のレンジで見るとどうか
 
 どうせなら、元気で生きのいい会社を選びたい、というのは内在する選択肢でもある。 三浦編集長に話を聞くと、住宅メーカーの監督出身や営業出身で、自分だったらこういう展開をするのにな、と会社に属しているときに思っていたことを小規模特性を活かした展開をしているという。しかも真摯に地域主義を掲げるタイプが多い。女性社長の工務店も増えている、といったことを言われた。
 
 鮮度型ともいうべきで、既存の工務店的な垢に染まらない、住宅メーカーでもない、新たな業態イメージを消費者に感じてもらうテクニックを保持している、と言えるだろう。その意味では私の定義では「知術世代」ということになる。
 
 もっとも問題は持続性であることは言うまでもない。5年間がこうした鮮度型の勝負レンジであり、5年間その勢いと鮮度を保つことが出来れば、地域内工務店としての基盤は形成された、ということができる。


ラーメン業界と近似している
 
 おや、このような動きはどかで見たな、と思い返してみると、ラーメン業界と極めて近似している動きを感じる。やはり戦後生まれ業態であるラーメン店も2000年までは、旧来の技能型ラーメン店のおやじたちが中心だった。こうしたおやじたちの店で修行したり、あるいは単なる客としての若者たちが、メディア演出もあるだろうが、生きのいいラーメン店を出現させはじめた。みな、若い。殆ど20代から30代はじめ。ま、ある意味では過酷な商売だから肉体的なパワーがなくてはとても難しいだろうが。

 このラーメン業界を見ていると、こだわりというだけでは繁盛の理由をわかり得ない部分が大きい。それが、鮮度と勢いというものにあるのではないか。

 それを失うと、途端に客からの支持がなくなる。味に変化ということもあるだろうが、それ以上にそうした雰囲気がなくなると、行列してまで食べたい、という意欲を失う。行列という勢いの証明が消えると、あれ、あの店は、という形で姿を消しているラーメン屋も多い。


鮮度というサプライズ
 
 鮮度と勢いはある種のサプライズ効果であり、そうしたサプライズは通常以上の満足度を顧客に与えるものだ。

 そうした鮮度と勢いの持続は相当に自己と市場を相対化して見る目と顧客との関係性の持続によるファン形成の増殖的な展開なくしては困難であり、これまでいくつもそうした工務店が、勢いだけで顧客との関係性を置き去りにして、結果として増殖作用を働かすことができなかった部分を見てきた。

 そこが、工務店としての持続性を保有しうるか、いなかということである。

 しかし、一方で、メディアには乗らないが、既存工務店の継承の問題も発生しつつある。この時後継者が、市場をどう捉えているのか。自社のこれまでをどう総括するのかで、ここでは持続の問題が発生してくるが、このことはまたいずれ。
posted by s-housing at 15:34| 野辺公一の21世紀工務店の源泉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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