2006年10月13日

勝ちパターン消滅の恐怖

執筆者野辺公一
●オプコード研究所

 工務店グループの本部は、工務店に対して勝ちパターンを提供する、ということが大きな役割でもあり、商品価値(加入価値)でもある。この商品価値は、基本的には受注量の増大や粗利益の向上ということで、工務店に対してその「価値」を対価に見合う形で具体化させることで、加入満足感が形成され、工務店間口コミでそのグループの競争力に対する魅力(加入欲求)が高まることとなる。
 
 つまり、地域での競合力の「決め手」としての具体を提供することで、工務店は自社の勝ちパターンを形成することが出来た。
 
 しかし、成功した勝ちパターンは、当然ながらそれらを求める工務店加入の増加によって「情報競合」が発生し、市場においては急速に競合力を失う場合もある。さらに同種の訴求ポイントを持った新たなグループ本部が登場すると、地域で形成されていた非対象性は弱くなる。

 このことは、何れにせよ客層の変化や情報普及(消費)によって避けて通ることはできない。そこで、グループ本部は様々な次の「技」づくりの提供を行う。しかし、根幹的な勝ちパターンはそうそう生み出せるものでもない。
 工務店も同様に実績をつくってきた勝ちパターンが弱体化しつつあることは認識できても、その勝ちパターンから新たな勝ちパターンを形成することはとても難しい。何故なら、その部分での勝ちパターンについては地域で独占的に差別化できていたからだ。
 
 簡単な例示で言えば、無垢材での梁現し、真壁(風)、漆喰壁もしくは珪藻土、無垢材フローリングと空間性能での差異化はいまやある種の工務店の勝ちパターンではなくなった。追求型工務店に対して、追随型が市場価値を認めて、あっという間に「定番」(どの工務店でもやれる)対応するようになってきた。
 
 こうした形で、ある種の勝ちパターンが弱体化してきたとき、工務店はどう行動するのか、ということの模索が切実化している。
 
 工務店はその勝ちパターンで、地域での実績を重ね、自分の力やグループの力を活用して、自社独自のバリエーションづくり、受注上の陣形を作り上げ、その守りを厚くしてくることができた。そして、自分たちの業績の成長や持続性の担保がその勝ちパターンによって形成されてきたとすれば、当然その勝ちパターンに固執することとなる。
 
 しかし、勝ちパターンが市場においては既に相対化されている状況の中で、工務店はどのような方向性を見出すべきなのか。
 
 そうした岐路を今後次々と迎える時代に入りつつある。
 
 しかし、勝ちパターン幻想を捨て去ることはできない。もはや相対化されたパターンに過ぎない、と思っていてもそれを捨てることで、他社が自社が築いてきたパターンを活用するかもしれない、という恐怖もある。
 
 また、他の勝ちパターンは既に他社が有しているということもあり「いまさら」後発的な展開には無理がある、という感覚も存在する。
 
 そこで、新しいパターンらしきものに対しては、むしろ「他社参入を潰す」という戦略的な意味合いでの「投資」として新たなグループに参加したりすることとなる。何れにしても実績ある勝ちパターンの行き詰まり感が高まる中で、各工務店がそれぞれどのような次のパターンを構築していくのか、ということになるが、基本的には工務店同士の、また地域内の人材資源(他業種)、OB施主との緩やかな連帯性から、新たなパターンが見えてくる、と考えている。
posted by s-housing at 14:30| 野辺公一の21世紀工務店の源泉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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