2006年11月24日

現場監督に秘書?

執筆者秋野卓生
●匠総合法律事務所

 11月16日、SAREXが主催して行った現場監督鍛錬塾の講師として、現場監督向けにセミナーを行いました。
 普段、私が行うセミナーは、一方的に私がしゃべり続けるものですが、今回は、私自身、大変気合いが入っていたこと、人数も10人程度と少人数であったことから、ソクラテス方式(要するに指名して回答を求めながら講義を行う形式)にて行いました。

 私が、当日の講義で最も述べたかったことは、「現場監督と下請業者の質が格段に向上すれば、欠陥住宅などなくなる」という事です。

 もっと言えば、現在、住宅・建築においては、様々な法律が次々と生まれていますが、そもそも現場監督がしっかり図面と現場を管理する体制が確立すれば、わざわざ建築士法を改正する必要はないし、瑕疵担保責任賠償保険を強制保険化する必要もないわけです。
 そういった意気込みで臨んだ講義です。
 当然、あれもやれ!これもやれ!と注文をしていく事になります。

 そうすると、出ました。素朴な意見が。
 
「現場監督って結構忙しいんですよ。」

 要するに、理想は分かるが、現実は忙しくて細かいことには目がまわらない。

 しかし、そんなことを言っていたら、今までと何も変わりません。
 相変わらず、住宅クレームが出て、日本の住宅の60%は欠陥住宅だ、なんて言われてしまうのです。

 私は、現場監督こそ、その現場に一番長い時間、関わる人なのであるから、顧客満足の実践、現場の詳細なチェック、現場と図面との整合性、施主の意向を下請業者に伝えるなど、様々施主の家づくりの実現に一番積極的であって欲しいと思っています。

 去年、非常に興味深い発言をある人から聞いたことがあります。
 それは、「うちの会社では現場監督に秘書を付けている」という言葉です。

 「なるほど!」

 某大手建材会社の社長さんも「建築をやっている人は、とにかく字を書くことが苦手なんです。だから建築をやっているんですよ」と言っていました。

 私達も欠陥住宅の裁判をやると、必ず現場監督さんや職人さん達と打合せをするのですが、とにかく文章を書いてきてくれない。だから、私達が丁寧に聞き取りをし、準備書面などを作成していくのです。

 自分の苦手分野は、得意な人に克服してもらう。

 この方法は一理有りだと思います。

 具体的には、現場監督5人に1人の秘書でいかがでしょう。

 各現場監督が現場等の外出先からお客さんと話をした内容を記憶が鮮明なうちに秘書に電話をして伝えるわけです。
 そうすると、秘書が会社で打合せ議事録を作る。
 そして、会社に戻った現場監督がその議事録を持ってすぐにお客さんのところに持参してサインをもらう。

 こういった迅速な対応ができる体制が構築できれば、この書面化が遅れているこの業界でも書面化の意識が高まっていくでしょう。
 何より、現場監督にとって、苦手な文章作成にかかる時間を節約できるわけですから、より自分の神経を現場に集中させることが出来るのです。

 因みに、我々弁護士は文章を書くのが仕事ですから、基本的に文章作成は得意分野です。

 しかし、実際、文章を作るには、ある程度の時間を取られてしまう、という事で、ボイスレコーダーに文章内容を吹き込んで、秘書にテープ起こしをしてもらう、なんていうことも良くやります。
 とにかく「忙しい人」は、自分の仕事の質を落とさず、更に高めるため、時間を作り出すことが大事なのだと思います。

 ビルダーの経営陣にしてみると、「現場監督に秘書?そんなもの必要なのか?」と思われるかもしれません。

 しかし、餅は餅屋であり、文章作成が得意な人にとって、打合せ議事録の作成など、あっという間にできてしまいます。
 現場監督の時給が2000円だとして、議事録作成に3時間かけてしまったら、6000円のコストです。
 しかし、時給1500円の秘書が1時間で作成できたら、1500円のコストで済むのですから、どちらが効率的か、は一目瞭然でしょう。

 今後、住宅会社の品質の向上のため、最も取り組むべきは、現場監督の質の向上です。
 この現場監督により活躍してもらうためのステージ(職場)づくりは、住宅会社経営陣の役目ですので、是非、ご検討いただきたいと思います。
posted by s-housing at 09:27| 秋野卓生の住宅法律相談所 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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