2007年04月16日

大地震などにより生じた損害について

執筆者秋野卓生
●匠総合法律事務所

最近、地震が多発しています。
3月25日に発生した能登半島地震では、震度4以上の地震が起きないと言われていた北陸地方に激震を走らせました。
また、4月15日には、三重県にて震度5強の地震が発生するなど、最近、「地震大国日本」を再認識させる大地震が相次いで発生しています。
被害者の皆様方には心からお見舞い申し上げます。

さて、大地震が起きると、必ず、倒壊した住宅の映像がテレビや新聞紙上で紹介されます。
あの映像を見ていると、「これは欠陥住宅だったのではないか?」と疑いたくなるような家もあるのです。

他方で、皆さんが日頃、使用している瑕疵の保証書を見てみて下さい。
また、皆さんが日頃、使用している請負契約約款を見てみて下さい。

きっと、大地震などの天災地変により生じた損害については、住宅会社の責任は免責される旨の条項が入っているはずです。

では、本当に免責されるのでしょうか?
 この点、神戸地方裁判所平成14年11月29日判決は、阪神淡路大震災が起因して不同沈下をしてしまった住宅について、「建物の設計・施工・監理に瑕疵があり、それを原因として、本件建物には震災を契機に、被害が発生又は拡大したことが認められる場合、震災の損害も賠償すべき責任がある。」として、工務店に対し、2855万円の賠償を命じました。
 
 この事案では、工務店が、建物の北側はコンクリート造の駐車場の上に載せ、建物の南側は盛土で構成される敷地の上に布基礎を置くという、北側と南側とで異なった基礎とした、バランスの悪い基礎の施工をしていたのです。
もちろん、阪神・淡路大震災が起きるまでは、何の問題もなく、居住性も確保されていました。
 ところが、阪神・淡路大震災で建物が不同沈下してしまったのです。
 神戸地裁判決は、「二つの基礎の上に建つ建物はアンカーで完全に一体化させるか、または逆に2つの建物に分離することでお互いに揺れが伝わらないようにしておけば不同沈下を最小限にくい止められたこと、被告が本件建物敷地の地盤改良工事を行い、本件建物の基礎を杭基礎としておけば、これ又、杭基礎によっているE邸建物のように、本件建物の被害(不同沈下による被害)を最小限でくい止めることができたことからすると、設計上の瑕疵により不同沈下による被害が発生、拡大することになった」と判示しています。

 地震によって今まで潜んでいた瑕疵が現象面として現れた場合、瑕疵担保責任を工務店は負わなければならない事になります。

 因みに、私自身、北陸地方の方に、上記のような話をしたところ、「北陸には地震は来ないんだ!だから、先生、うちの場合は心配ないんですよ。」と言われてしまったことがあります。
 しかし、現実に、「地震が来ない」と言われるところに地震は来ています。
地震が起き、欠陥が発見されれば、裁判で多額の賠償をしなければならない事になるのです。
 日頃から、高いコンプライアンス精神をもって法令に適合した安全な住宅建築を心がけていただきたいと思います。
posted by s-housing at 09:55| 秋野卓生の住宅法律相談所 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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