2007年05月11日

はじまった中古ハウジグ・ディベロップメント

執筆者野辺公一
●オプコード研究所

ウワモノの資産価値保証
 
 既に、以下のことは三浦編集長ブログで触れられているが、私なりの視点で再度考えてみたい事柄であるので、考察したい。
 
 ヘーベルハウスが60年保証(実質は30年)の裏付けというような形で、自らの供給する住宅のウワモノとしての「資産価値」の存在性を誇示している。
 また、積水ハウスも「リフォームを行って、売却」といったウワモノの資産価値の確保といった仕組みを導入してきた。
 
 このことは、ある意味で新築時の裏保証のようなもので、さすがにアパート供給等で鍛えられたノウハウでもある。つまり、アパートの入居保証のようなもの。売却益すらいざとなったら狙えます、という訴求。セカンドオーナーと呼んでいるけれど、ファーストオーナーは、その家を売却してどこにいくんだろうか、なんて考えてしまう。
 今度はもっと利便性のよい積水ハウスのマンションにでも移動するのか。
 
 とは言っても、中古住宅というものは、やはり分譲住宅と同じで、立地・周辺環境価値の方が高く評価されることになる。いざとなると、どうなんでしょうか。毎年、売却価格なんてものが送られてきたら面白い。その価値変動を見据える方がよほど安心(かえって身体に悪いか。株価に一喜一憂する人々みたいで)を売ることになる。
 ただでさえ苦闘しているリフォーム部門の事業建て直し戦略としては、いい。
積水ハウスの考え
 
 物を無駄にしない、捨てない、壊さない、「循環型社会」の実現のため、環境負荷を軽減するとともに「ストッククオリティ=中古住宅としての住宅の価値」を高めて住まいの長寿命化をはかる。これが私たちが地球にやさしくできる一つの方向だと考えます。
そのために、末永く資産価値を保証するアフターメンテナンスをはじめ、中古住宅流通を促進するシステムを構築しこれを推し進めています。
《ユートラス保証》は、当社独自の点検(点検費用5万円)の後、必要であれば構造躯体と防水に関する補修・改修(有償)をお受けいただくことで、新築以外の物件にも、新たな10年間の品質保証をするもの。10年ごとの点検・補修で更新ができる安心の保証システムです(積水ハウスホームページより引用)。

新築+リフォーム+ファイナンスの統合 

 このことは、新築住宅業とリフォーム業と不動産業とファイナンス業を見事に統合するビジネスモデルとも言える。
 今後、超高齢化社会を迎える中で、親世代の老後生活を見守ることとなる現在の団塊ジュニア等の若い層にも訴えることとなる。
 これまでの切れ目全てを統合化する形での中古住宅の資力価値確保といったビジネスモデルということとなる。
 
 このことを中古ハウジング・ディベロップメントという呼び方でいい。略して「中デベ」さんたちの登場である。
 
 基本的には30代土地無し客で「ミニ分譲では嫌だ」という層もかなり存在していると思われ、そうした層に対して「当社の家ですから」という、ある意味での再分譲という仕組みとも言える。
 セカンドオーナーという呼び方も面白いが、でも値付けは基本的にはやはり土地。そこにいくら上乗せできるのか、というのが評価ノウハウなのだろうが。
 車のビジネスモデルを固定的な資産で構築する、といったことになる。
 
一見魅力的なビジネスモデルだが
 
 日本的な注文住宅感覚である「場所へのこだわり」「家づくりのこだわり」から中古住宅流通市場は殆ど土地取得の代替として動いていたのが現状であり、こうした手法はまさに超高齢化の時代の中でのニーズをついたものだ。
 そして、高齢者は、実際にリバースモゲージ等を活用する、ということは少なく、いざとなった時にいくらで価値を持つのかを知っておきたい、という心理を基本とする。
 
 ここに、買い取り保証付き、ということはある意味で大いなる安心感を与える。さすがに大手である。にくい作戦で来た。
 でも、売却希望者ばかりになったらどうするんだろう。皮肉な現象が起きるやも知れない。積水にリフォームを頼んだら、建て替えを勧められた。リフォームの見積がトンデモナイ金額だった、ということで、工務店にリフォーム依頼が来ているのも現状である。

工務店に可能なのか 
 
 ところで、工務店にこれができないのか、というとそうでもない。中デベをネットワーク化すれば、その可能性はある。問題は不動産業との関係である。
 
 大手の中デベ事業はあくまでもクローズドな仕組み故に成立するわけで、これが個別散在的な工務店住宅と個別散在的な町の不動産業とがどのような形で手を結ぶか、ということとなる。
 
 これも、それぞれのビジネスモデルを持ち寄ることで、また地域行政をも巻き込む形でこのことが可能となる。
 100年住宅といった長寿命性を、単純に住宅の丈夫さとして訴えるような時代から、統合化された資力価値を誇示する時代へとその道がついに開いたな、という感じがする。
 
 そうした中で、どのような家づくり・家守りを実践していくのか、ということを私たちは仕組みとして問うていくこととなる。
 その一方で、住みつづける人たちの家守り支援という仕組みの方が実際は圧倒的に高いわけで、その部分での工務店ならではの仕組みづくりも考えているところだ。この実験は、これからスタートしていくこととなる。
posted by s-housing at 19:11| 野辺公一の21世紀工務店の源泉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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